第2回 映画を楽しみたい――自宅でできる趣味
趣味と言えば映画鑑賞もまた昔からの王道と言えよう。映画好きにとってタイはおそらく日本以上に魅力的な場所になる。残念ながら「タイランド・エリート」メンバーだけの特典というのは映画鑑賞関連にはないけれども、タイでの映画鑑賞はより安く、よりハイレベルで楽しめること請け合いだ。
前回はゴルフというアウトドアの趣味を紹介したが、ここでは映画鑑賞に関連して、インドアな趣味も見ていこう。
タイで映画を観るならデパートに行く
タイでの映画鑑賞の魅力は、まずどこにでも映画館があるということ。そこそこに大きな商業施設なら必ず映画館がある。そう、タイで映画を観るということは、デパートに出かけることでもあるのだ。
このメリットは計り知れないインパクトがある。まず、デパートは飲食店がある。フードコートといった安い店からちゃんとしたレストランまで。だから、ちょっとした休日のお出かけが映画を含め、ここ1ヶ所で完結する。当然小売店もいっぱいあるので、とにかく時間が合わなくてもどうとでもなる。携帯会社のオフィスもあるから料金を支払いつつ映画鑑賞も可能で、休日にやりたいことを全部できることは大きなメリットだ。
タイで映画を観るべき理由はまだまだある。まず、タイ映画を観ることができることだ。邦画と同じでタイ国内ではタイ映画もかなりの数が制作されている。大半が外国には輸出されないので、レアな映画をたくさん観られる。タイの映画監督も外国で賞を取ることが多々あるので、レベルは決して低くない。
それから、ハリウッド映画などは日本よりも早く封切られる。近年は上映タイミングに大きな差がなくなってきたが、20年前は3ヶ月から半年も早くに上映していた。配給会社ががんばって日米同時とか日本先行を謳う場合は別だけれども。
邦画はほとんど映画館では上映されないが、日本でヒットした映画は公開される。最近は邦画がマンガ原作ばかりというのもあって、上映頻度が増えてきている。日本よりも公開日は遅いので、観る前にネットで結末を知ってしまうこともある点は注意したい。また、映画館によってはタイ語吹替になっていて、日本語で観られないこともあったりする。
映画鑑賞が安いということは大きなメリット
タイで映画を観ることの最大のメリットに、料金の安さもある。20年前と比べるとかなり高くなったが、それでも座席幅の広いVIP席、カップル席などは日本よりもずっと安い。昔はそれこそ100バーツ(当時300円しないくらい)で鑑賞できたが、今だとバンコクなら250~300バーツくらいはかかる。それでも日本円換算で870~1050円程度なので、日本よりは安いでしょう。
以前は映画館前のチケットブースで切符を購入していたが、今はネットからも買える。もちろん今も映画館前で買えるので、ネット予約がわからなくても安心。タイの映画館は全席指定なので、座りたい席を押さえて買う。今は座席ごとに値段設定が違うので高いのかと思う。いずれにしても、上映回数が多く、上映する部屋も多いので、基本的に立ち見とか並んで待つということもないのはいい。
商業施設内の映画館だと入り口は1つで、中で複数の小部屋に分かれているため、館内には上映の数分前にならないと入れない。入ると売店があるので、そこでポップコーンなどを買ったりして部屋に行き、指定の席に座る。気をつけたいのは、タイでは本編が始まる前に国王賛歌が流れ、そのときは起立しなければならない。欧米人が稀に立たないで座ったままでいるが、逮捕案件にもなりかねないので、しっかりと敬意を払って立って聴きたい。ちなみに、賛歌の歌い手や映像は映画館の経営会社によって違う。
指定席なので基本は入れ替え制だ。昔の日本のようにズルをしてずっと居座るということはできない。あと、上映の小部屋は大小あるが小さいところもあり、うしろの席でも画面が大きすぎて疲れるということもある。
字幕が追いつかない人はDVDもおすすめ
映画館で鑑賞する場合の大きな問題点は言葉の壁があることだ。邦画はタイ語吹替の場合があるので、日本語上映の映画館を探すしかない。洋画は基本的にはその国の言葉で上映される。アジア映画だけ吹替になるようである。一応、すべての映画に字幕がつく。タイ映画の場合は英語字幕、外国映画はタイ語だけか、タイ語・英語の両方。言葉の壁が高いのは仕方ない。ボクも難しい英語はわからないので、洋画はシリアスなもの、推理やサスペンス、政治関係は観ていられない。アクションやコメディー、ホラーといったわかりやすいものばかりになる。
そういう人にはDVD(あるいはブルーレイ)がいい。商業施設にはどこにでもショップがあって、100バーツ台から購入できる。タイはビデオテープの文化がなかったこともあって、レンタルサービスがない。地方にはもしかしたらあるかもしれないし、20年くらい前は下町などにレンタルはあるにはあったのだが、今は基本的には買うしかない。
こういったショップには邦画もある。その場合は日本語を選択できるので観やすい。中華系タイ人が多いからか、意外と中国映画も充実しているし、韓国エンターテインメントは言わずもがなでしょう。
気をつけたいのは、DVDとブルーレイを間違えること。また、地方だとDVDの前に主流だったVCDがいまだにある。間違えて買ってしまうとデッキによっては再生できないこともあるので、買う前にしっかり確認したい。
また、店舗ではなく小さなブースで映画を売っている場合、海賊版であることも多い。デッキで観られないわけではないが、本来は違法なので加担するべきではない。質も悪いので、きれいな映像ではない。音声が途切れていることもあるし、タイ語字幕しかなかったり、ひどい場合はどこかの映画館で盗撮したものがDVD化(大概タイでまだ上映していない最新映画で、中国などで作られていると見られる)されているなど、まともに観られたものではない。
インドアの趣味もタイにはたくさんある
自宅でできる趣味もいろいろある。日本人のある夫婦はゲームが趣味ということで、休日はバンコク都心のマンションに引きこもってゲームをしている。といっても、普通のゲームではなく、オンラインゲームというものらしい。ボク自身がその世界に疎いのでちんぷんかんぷんなのだが、そのゲーム内に世界があって、道具を作ったり売ったりできるのだという。どうもそのゲームは日本国内でしかできないらしく、わざわざ仮想サーバーというものを契約して、タイからではなく日本で接続しているように見せかけているという。
そこまでマニアックなことではなくとも、普通に日本のゲーム機も手に入る。ただ、やっぱり日本より高いしゲーム数は限られるので、場合によっては日本から持って行くとよさそう。ただ、戦争ゲームや暴力描写が激しいゲームの中にはタイで発売禁止のものもあるので、そのあたりは事前に調べておくべきだろう。
あと自宅でできるのは家庭菜園やDIY(日曜大工のようなもの)など。マンションでも、特に80年代90年代に建てられた古いマンションだとベランダがとてつもなく広いこともあるので、そこでそういったことも可能だ。種や道具などはスーパーやホームセンター、市場周辺にある植木屋で手に入る。タイハーブなど、日本で育てにくい植物を栽培して、料理に使うという人も実は在住日本人の中にも結構いる。