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第6回「外国人長期滞在者の子どもたちの教育にはどんな選択肢がある?」

 

 海外移住あるいは長期滞在は、とりわけタイへとなると、これまでは単身者が多かった。家族帯同ケースは日系企業駐在員がほとんどで、実はそれもすべての人というわけではなく、半分くらいは単身赴任だった。

 今は、特にバンコクなら頼れる日本人も多く、日本人相手に商売をするタイ人も少なくないので、移住生活に慣れるまでの時間がかつてよりもずっと短くなった。また、外国に活動拠点を移すことが個人でも珍しくなくなった昨今、家族揃っての移住も見られるようになっている。

 大人だけの世帯なら住む場所も仕事も、予算や計画に合わせればいいだけの話だが、まだ未成年の子どもがいる場合、子どもたちの将来についても考えておかなければならない。そこで問題になるのが教育だ。

 よって、今回は我々日本人が就学期・学齢期の子どもたちを連れてタイに移住した場合、どうすればいいのかを5回連載で紹介していきたい。まずはタイの教育環境について簡単に見ていこう。

タイもほぼ6-3-3制ではあるが日本とちょっと違う

 まず、タイ国内における、タイの教育制度について基礎的なことを見ていく。

 タイも日本と同じで、幼稚園から始まり、小学校と続く。学年数は日本と同じだ。バンコクの場合は物価と世帯収入の関係もあって、特に女性は出産したら3ヶ月と待たずに働きだす。タイ人はまず家庭において男性が育児に積極的に参加するし、夫婦のいずれかの親が昼間に子どもを預かってくれる。また、職場でも早退や遅刻に寛容で、日本よりも職場復帰がしやすい。1歳にならないうちに幼稚園に通いだすケースもかなりある。

 小学校の次は中学、高校になる。厳密には日本と同じ6-3-3制ではあるものの、公立校でも一貫して6年間通うことも珍しくない。そのため、学年の呼び方もアメリカに似ていて、中学・高校は中等教育を意味するマッタヨムの略であるモー1~モー6と全学年が通しで繋がっている。つまり、モー4からが日本の高校の課程に当たる。

 マッタヨムの次は大学だ。タイでは日本のセンター試験に似た制度がある。ただし、試験は中学に入ったら定期的に行われ、その成績で受けられる大学が変わってくる。日本のように大学受験前に勉強に開花しても手遅れというデメリットが一部にある。これらタイの小中高に関してはまた別の回で詳しく紹介する。

 習い事もタイ国内、特にバンコクなどの大きな都市、各地方の県庁所在地にはいくらでもある。スポーツ関係、最近だとダンスレッスンも人気だ。英語などの教室も多いが、受験勉強用の塾はタイ人向けにはほぼない。日本人向けには日本人経営の塾が中学生向けまではある。

大きな選択肢は日本人学校とインターナショナル校

 少なくともバンコクの教育環境は悪いものではない。東南アジア内においてもタイは教育水準が高い。隣のカンボジアに行くと20代30代で字が読めない人が普通にいるが、タイではまずそういったことはない。

 とはいえ、外国人長期滞在者が闇雲にタイの教育施設に子どもたちを入れればいいというわけではない。そもそも、タイの公立校には外国人の子どもを受け入れる準備がないケースが多い。だから、外国人は自分の子どもや計画に合った学校をみつける必要がある。

 日本人移住者にとって選択できる教育施設、あるいは教育機関は大きく分けると日本人学校、インターナショナル校、タイの学校だ。簡単にこの違いを紹介しておくと以下のようになる。

 まず日本人学校は、その名の通り、タイに暮らす日本人の子どもが通う学校のことだ。正式名称を「泰日協会学校」といい、日本の文部科学省に認可された教育施設なので日本国から教師が派遣される。しかし、実はタイにおいては私立学校の扱いになる。

 タイの日本人学校は世界でも有数のマンモス校であり、かつ教育レベルが高い名門校でもある。そのため、日本人移住者なら子どもをここに通わせればいいと考えるかもしれないが、そう簡単な話ではない。入学の条件諸々もあるし、なにより、中学校の過程までしかないため、その先をどうするかが悩みの種になるのだ。

これら代表的な学校に関しては連載ごとに詳しく紹介していくので、とりあえず次に進みたい。

 さて、次にあるのがインターナショナル校(以下インター)に通わせるという選択肢。タイにおいては日本人学校もインターのひとつだが、ここでは欧米の教育カリキュラムを採用した学校をインターとしたい。

 タイは昔から英国との繫がりが深く、インターも英国系が多い。ほかにはアメリカ系、カナダやフランス、シンガポール、台湾もある。英語圏以外の学校はどちらかというとその国の子息に特化しているので、この先その国に移住や進学の予定がある、あるいは家族・親族にその国の人がいるというケースでなければ基本的に選択肢に入らないでしょう。

 インターは英語教育が基本で、将来的にネイティブな英語スピーカーになるし、欧米などへ留学する際も有利だ。ただ、日本に帰るとなった場合、進学先が日本で限定されるデメリットがある。

 最後にタイの学校だ。公立校は基本的に外国籍の生徒を受け入れていない。ビザの問題もあるし、環境に考慮して学校側が拒否をするようだ。いずれにしても、日本人夫婦もしくはタイ人以外の国際結婚カップルの場合、子どもをタイの学校に通わせるのは、子どもがタイ国籍を取得するつもりでいる以外は望ましくない。これについては理由が長くなるので、別途紹介していく。

いずれにしてもタイで勉強することは子どもにいい

 タイへ家族と共に移住する場合、やはり『タイランド・エリート』の利用は最適だろう。いくつか段階的にあるステータスの中には家族にも発行されるものもあり、かつ滞在許可の期間が予測できるので計画を立てやすい。タイランド・エリートなら初めからビザの期限がわかっているし、しかも長い滞在許可が出ることは間違いなく、安心感に繋がる。

会社を立ち上げてビジネスビザなどを申請し、そこから家族ビザを得てもいい。しかし、取得できたとしても毎年行われる延長手続きは結構大変だ。どうしても働く必要があるのなら、世帯主だけビジネスビザにして、家族はタイランド・エリートというのもいい手ではないだろうか。

 さて、基本的な心構えを僭越ながらレクチャーさせてほしい。まず、外国である以上、子どもへの教育は日本とはかなり違い、長い目で将来を見据えて選択しなければならないということをまずは念頭に置いておこう。与えられる選択肢は思いのほか少ないのが現実だ。とはいえ、タイにおいて子どもたちが学校で学ぶことには大きな意味もある。

たとえば日本人学校なら、いろいろ水面下では問題もあるし日本の教育そのまま。一見タイに来た意味がないと思われがちだ。それならばインターにしたいと思うかもしれない。しかし、バンコクの日本人学校でも十分に国際的だ。なにしろ、日常生活をタイという異国で過ごすので、子どもたちは大人よりも早く多くのことを吸収している。学校でも、話題は日本のゲームやアニメ、アイドルの話もあるだろうが、一方で日本の学校ではありえない、バンコクやタイのことも話題になってくる。自然、子どもたちは国際色豊かになるのだ。

 あくまでもボク個人が出会ってきた中での話だが、単身で若いうちから海外に移住する人には各国の日本人学校卒業者が少なくない。子どものころに外国を知って、日本やタイなどひとつの国に収まっていられない人間ができあがる。日本人学校といえども、国際的なというか、外へ飛び出すような積極的な性格になりやすいのだ。

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