第3回目 免許証、銀行口座開設……やることがいっぱいの移住開始時

 長期滞在・移住ともなると「ただ住まいを借りて暮らし始める」というわけにはいかない。大の大人が外国で長く暮らすとなると、いろいろな手続きが必要になる。また、やらなくてもいいけれどもやった方がいい手続きもあるなど、多少はメリット・デメリットを知っておかなければならないことが山盛りだ。連載3回目の今回は、そんなタイへの移住当初にやっておいた方がいいことを紹介していく。

まずは大使館への届け出と運転免許証

 まず日本政府が示している海外移住・海外長期滞在の定義は「90日以上」その国に滞在すること、となっている。日本政府は90日以上外国に滞在する際には、各国にある在外公館に在留届を出すようにいっている。

 在留届は義務ではあるものの、出さなくても罰則がないようだ。このようにルールがややあいまいなところがあり、必ずしも90日が経過していなくても早めに提出することも可能となっている。特にタイは、日本の運転免許証をタイの運転免許証に書き換えることができるので、そのためには在タイ日本大使館が発行する在留証明書が必要なこともあって、早めに出すこともできる。

 タイは法令で、すべての人が身分証明証を所持していなければならない、としている。タイ人にはIDカードがある。外国人はパスポートだ。とはいえ、外出時にパスポートを持ち歩くのは少々危険だ。連載1回目で紹介したようにビザがお金でどうこうできるようなものではなくなっている以上、それが貼ってあるパスポートは貴重品だ。それでなくても海外ではパスポートは命の次に大事とさえいわれている。

 そんな大切なものを持ち歩くのはリスクが高い。万が一紛失しても大使館で再発給は可能だが、ビザなどは警察などの書類や以前の申請関係の書類を持って関係各所を周らなければならず、かなり厄介。そこで多くの長期滞在日本人が考えたのが、タイの免許証を取得して、それを身分証明証として持ち歩こうということだ。車も運転できるし、持ち運びも容易とメリットが多い。ただ、最近はタイ政府あるいは警察が厳しくなっていて、パスポート原本でないと身分証明証不携帯で罰金刑になることもで増えてきたようだが。

今最もタイ移住に適しているビザ・サービスである『タイランド・エリート』のメンバーなら、日本の免許証をタイの免許証に書き換えるサービスもある。本来はタイ語ができないとややこしい手続きが、タイランド・エリートで滞在していればメンバー・コンタクトセンターにアポイントを取ることで、サポート担当者が書き換えに同行してくれる。これはかなり心強いサービスだ。

銀行口座があると生活が変わる

 免許証は別になくてもかまわない。ほかにも代わりになる証明証はいろいろある。

 一方、絶対にやっておいた方がいい手続きは銀行口座の開設だ。日本で暮らしていれば、日本国内の銀行で口座を開設することは難しいことではない。しかし、外国人がタイで口座開設をする場合、近年はかなり困難を伴う。

 2005年前後までは観光ビザで入国した人でも口座開設ができた。2005年前後から、外国人が口座開設する場合には労働許可証の提示が必須になってきた。就労ビザと大概セットで発給されるものなので、拡大解釈としては観光ビザ以外のビザであれば口座開設ができる。

 ちなみに、運転免許証も同様で、観光ビザではタイの免許は取得できない。しかし、運転免許証や口座開設はタイランド・エリートの特典内で可能だ。運転免許証に関しては前述した通りで、タイランド・エリートの購入者につく特典のひとつとして銀行口座開設サービスもある。タイランド・エリートのメンバーに推薦状が発行されるので、それを使うことでバンコク銀行とカシコン銀行で口座開設ができる。

 タイに銀行口座さえあれば、収入証明が必要だがクレジットカードも作れるし、ネットショッピングもできる。タイ国内のネット通販もかなり充実してきているので、かなり便利だ。また、日本からの送金も口座があれば受け取ることができる。日本とタイの口座名義人が同じだと海外送金がよりしやすい。人によっては株や仮想通貨にタイで挑戦したい人もいるでしょう。そんな人にも銀行口座はあらかじめ必須だ。

 なにより、タイはATMが日本より多い。しかも24時間利用可能で、同じ銀行のATMなら10回の出し入れまで手数料がかからない。キャッシュカードを持っていれば、現金も最低限で済むので安全・安心だ。さらに、デビット機能のついたキャッシュカードを発行すれば、多くの店にてキャッシュレスで買いものができる。

タイのキャッシュカードはセキュリティー面も安心度が高い。というのは、暗証番号が6桁が普通になっているからだ。ただ、セキュリティー面ではかなり効果的であるものの、4桁暗証番号に慣れていると、キャッシュカード発行時、あとふたつの番号をなににするかで意外と迷うから気をつけたいところだ。

90日レポートを出すことも忘れてはいけない

 滞在が長くなると、タイではイミグレーションに「90日レポート」と日本人が呼ぶ書類を提出しなければならない。これはタイ政府が外国人の居住を管理するための書類で、90日ごとにイミグレーションに提出しなければならない。これが結構面倒だし、忘れやすい。その場で罰金というわけではないが、出国審査のときに指摘され、罰金2000バーツを払わされるケースも最近はあるようだ。ネットでの提出もできるのだが、混雑していたり使えないことも多く、結局イミグレーションやワンストップサービスの窓口に出向かなければならない。

 この90日レポートの提出サポートもタイランド・エリートでは対応している。なんという至れり尽くせりのサービスが手に入るのか。高額な分、タイランド・エリートにはこういった特典諸々があり、利用すればするほどコストパフォーマンスが上がる。

 ちなみに、最近になってやっと外国人にも知られるようになった法令で、外国人を受け入れる宿泊先は、外国人到着から48時間以内にイミグレーションに報告する義務がある。ホテルなどがチェックイン時に飛行機内で書いた出入国カードをコピーしているが、あれはイミグレーション警察に報告するからだ。タイ政府はあのカード番号で外国人を管理しているのだ。意外とアナログで驚くが、とはいっても、基本的には外国人旅行者には関係ない話だ。

 しかし、もし自分が所有する物件に滞在する場合、到着したらイミグレーションに必ず書類を提出しなければならない。ホテル経営者や物件オーナーの義務だからだ。これを怠ると、その住所でビザを延長することが困難になる。また、2000バーツくらいの罰金を払わされることになる。ただ、一度提出してしまえば楽で、次回は出入国カードの番号を伝えるだけで手続きが終わる。これに関してはタイランド・エリートのサポートはないので注意したいところだ。

 90日レポートはタイランド・エリートのサポートがあるが、それでも面倒だと感じる場合は3ヶ月ごとに出国するという手もある。タイは地理的に東南アジアの中心に位置するので、近隣諸国に行きやすい。せっかくタイにいるのだから立地条件を活かして頻繁に海外旅行をするというのもいいかもしれない。その場合、空港送迎のリムジンサービスには利用制限があるので、そのあたりは回数と相談しながらにした方がよさそうだ。

 それから、90日レポートはあまりにも不便な報告義務のため、レポート自体を廃止する議論も出ている。近々この書類はなくなるかもしれないと噂されるが、長年やってきた制度はタイの場合はなかなかなくならないというのも事実だ。その観点でいうと、タイランド・エリートはもう20年近く続いているし、これからもなくならないのかなと、ボクは思う。そこそこに高額だが、突然に廃止というリスクは小さそうだ。

執筆者紹介

高田胤臣(たかだたねおみ)1977年東京都出身。1998年に初訪タイ、2000年に1年間のタイ語留学を経て2002年からタイ在住。2006年にタイ人女性と結婚。妻・子どもたちは日本語ができないため、家庭内言語はタイ語。
現地採用としてバンコクで働き、2011年からライター専業になる。『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)など書籍、電子書籍を多数出版。書籍、雑誌、ニュースサイトなどに東南アジア関連の記事を寄稿中。

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