第2回目 タイで運転する場合に必要な免許証

タイの運転免許証

タイの道交法においては、外国人もタイの運転免許証を取得できるようになっている。ただ、誰でもいいわけではなく、18歳以上であり、かつ観光や一時的な通過以外の滞在ビザの保有者で、すでにタイに90日以上滞在している人が対象になる。すなわち、「タイランド・エリート」のメンバーでも基本的には問題なく運転免許証を取得できる。

ここでは、タイで車を運転するにあたり、必要な免許証についての基本的な情報を紹介していく。ただし、取材時点の内容なので申請時には現地にて問い合わせは必須。タイの免許センターは日本でいう陸運局にある。住まいによって管轄が違う。バンコク中心地ならBTSチャトチャック駅の近くにあるバンコクで最も大きい陸運局に行くといい。外国人慣れしているので、スムーズに事が運ぶ。

国際免許証で運転する

日本で国際運転免許証を取得する方法を簡単に。これがあれば、当面はタイ国内での運転は問題ない。また、次項の日本の免許証を切り替えるにあたり、国際免許があると少しだけ費用が安くなるというメリットもある(ただ、日本でお金がかかるので総額は差がないけれど)。

そもそも国際運転免許証は警察などでは「国外運転免許証」と呼ばれる。1949年のジュネーブ条約に基づき発行され、同盟加盟国で有効になる。タイも加盟国なので問題なく使える。

申請は免許センターや指定の警察署など。免許センターは即日発行で、警察署などは後日になるようだ。有効期限は基本的には1年間となる。必要書類は下記。

・申請書

・運転免許証

・過去に取得し未返納の場合は国外運転免許証

・写真1枚(5x4cm、申請前6か月以内に撮影)

・パスポート

・手数料2350円

 原付免許など国際免許証では申請できない区分があったり、最近はタイでも国際免許証にマークのない区分の車両を運転すると無免許運転扱いになるので注意が必要だ。普通自動車なら問題ない。

日本の免許をタイの免許に切り替えよう

 日本の運転免許証もしくは国際運転免許証をタイの運転免許証に切り替えることもできる。ただ、タイにない区分は切り替えられないし、逆にタイにしかない区分を申請することはできない。バイクなら原付という区分はタイにない。最近はタイも大型バイクの区分ができたので、普通二輪では大型バイクを運転できなくなった。日本の特殊がつく区分もタイにはないし、逆にタイのトゥクトゥクなどの三輪を日本人は申請できない。

タイの免許区分は概ねタイヤの数で分かれているイメージだ。前述のように三輪すなわちトゥクトゥク、普通自動車は四輪、大型トレーラーだと十輪などもある。日本のように乗車人数で区分されないので、大人数が乗れるバンを普通免許で運転できるようになるメリットが日本人にはある。

タイにも日本と同じように二種免がある。タクシーやバスの運転手のためで、基本的に外国人は切り替えも新規取得もできないと思っていていい。この場合は労働許可証などと関係し、かつ基本的には外国人は就労できないのでそもそも取得させないものだからだ。

それから、日本で普通車と普通二輪を持っている人がいるかと思う。タイの場合、区分ごとに1枚ずつ免許証が発行されるので、両方とも切り替えたい場合は書類を2セット用意しなければならない。

切り替え時に必要な書類は下記になる。基本的に満18歳から申請できるので、18歳未満の二輪免許保有者は切り替えできない。また、観光ビザや一時通過ビザ以外、つまりノンイミグラント・ビザなどを保有し、連続で3ヶ月以上滞在している必要がある。90日以上の滞在歴はあくまで原則で、早急に免許が必要な人は在タイ日本大使館に頼めば書類を出してくれることもある。いずれにしても「タイランド・エリート」メンバーはビザの点は問題ないでしょう。

・ビザ有のパスポート(有効期限1年以上)

・タイの在住証明(日本大使館が発行する在留届の証明書)

・写真2枚

・診断書(病院などで運転免許用と言えば必要事項を埋めたものを出してくれる)

・日本の運転免許証

・運転免許証記載内容の証明(日本大使館で発行してもらう)

・国際運転免許証の原本とコピー(これがあれば、上記の免許記載内容は不要)

・手数料

 料金はよく変わるので要確認だが、運転免許証の記載内容証明は現時点では610バーツほど。在留証明書も350バーツかかるので、タイの物価感覚からすると結構高い。免許センターでの手数料は普通車は200バーツくらいのはず。

 これらの書類を持って住まいの管轄の陸運局に行く。混み具合にもよるが、朝に行けば昼にはタイの免許証が発行される。切り替えのメリットは試験が不要なので、タイ語や道交法を知らなくても問題ない。色盲検査や視力検査、ブレーキを踏む反射神経の検査くらいで済む。デメリットはタイの道交法を知らないまま免許を取ってしまうので、知らなかったでは済まない大きな問題になる可能性もある点。

タイで免許証取得を目指す

 ゼロからタイで免許を取得する方法もある。タイの場合は一応教習所のように練習をさせてくれる業者はあるが、いずれにしても免許センターで学科と実技はやらなければならない。必要書類は下記だ。

・ビザ有のパスポート(有効期限1年以上)

・タイの在住証明(日本大使館が発行する在留届の証明書)

・写真(書類用で、免許用はセンターで撮影される)

・診断書(病院などで運転免許用と言うこと)

・手数料

 学科はパソコンでのマークシート方式で、50問中45問正解で合格。試験場によっては日本語版も残っていたり、廃止されていたり。でも、もし英語やタイ語が読めるならそっちにした方がいい。受験経験者に言わせると、日本語そのものが意味不明で、そもそも合格できないとか。友人に聞いたら「設問は1~4のどれが正しいかと問うのに、問題内はa~dでどれだかわからない」ということだった。

 学科に受かったら次は実技。最近は混雑していて数日後の予約になる。試験内容は簡単で、発進、停止、縦列駐車、幅寄せくらい。教習業者に申し込んでも、学科は冊子を渡されるだけだし、実技も数時間練習するだけ。だから、ボクの友人は車を持っている彼の友人の家の駐車場でちょっと練習して試験を受けていた。それで一発合格だから簡単なようだ。

 タイの運転免許証は最初は仮免扱いで1年間の有効期限。更新は免許センターに再び行き、色盲や反射神経の検査を受けてタイ語のビデオを30分くらい観る。その後、発行となる。ここでもらえると5年間有効になる。タイの場合、日本のように通知が来ないので期限切れは自分で見ておかないといけない。

日本の免許が滞在中に期限切れになったら

 タイ滞在中に日本の免許が期限切れになった場合についても紹介しておく。頻繁に帰国する場合は、期限切れ前に忘れずに更新しておくこと。

期限までに帰国できない場合は「やむを得ない事情」に該当するので、失効後6ヶ月から3年以内なら、帰国後1ヶ月以内に免許センターで再発行手続きが可能。ただ、この場合は失効しているので、新たに免許を取得したのと同じになる。ゴールドなどがなくなるので、できれば期限前に更新したい。

 ちなみにボクの経験だが、「やむを得ない事情」は日本帰国後も継続されるケースもある。ボクの日本住所は埼玉県になる。以前、失効後に大阪に来た。この場合は埼玉県に行けないので、やむを得ない事情の継続になる。別のタイミングで埼玉県にいたこともあった。そのときは3泊しか日本にいなかったので免許センターに行けるはずもなく、事情の継続になった。

 完全に失効した場合、2つの方法で日本で運転をすることができる。日本滞在が一時的なら、タイの国際運転免許証を取得すれば日本で運転ができる。ただ、あくまでも日本に一時滞在のときに有効になるので注意。完全帰国後(つまり生活拠点が日本に戻った場合)は使えない。

 もうひとつの方法は、タイの免許証を日本の免許に切り替えるという方法。必要書類はタイに3ヶ月以上継続して滞在していた証明、それからタイの運転免許証の和訳だ。和訳はタイの日本大使館か、日本でならJAFで入手できる。

 とりあえず、これだけ知っていれば、タイでの長期滞在にまつわる運転免許証関連の話は問題ないでしょう。

筆者紹介

高田胤臣(たかだたねおみ)1977年東京都出身。1998年に初訪タイ、2000年に1年間のタイ語留学を経て2002年からタイ在住。2006年にタイ人女性と結婚。妻・子どもたちは日本語ができないため、家庭内言語はタイ語。
現地採用としてバンコクで働き、2011年からライター専業になる。『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)など書籍、電子書籍を多数出版。書籍、雑誌、ニュースサイトなどに東南アジア関連の記事を寄稿中。

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