第5回 DIYをするならここに

 いつからでしょうか、「DIY」という言葉が当たり前に使われるようになったのは。ボクがタイに移住した2002年以前はまず耳にしたことがなかった。DIYを一応説明すると、『Do It Yourself』の略で「自分でやる」、すなわち日曜大工だったり、自宅の修理や修繕、家具などを自分で作るったりすることを指す。

 歴史を紐解くと、1945年の終戦後に爆撃などで破壊されたロンドンを英国民が自分たちの手で修繕しようという運動が起こり、そのときにこの言葉が生まれたようだ。そして、日本には1970年代にはすでにDIYが入ってきているという。おそらくこれはホームセンターなどの登場を指し、DIYという言葉自体が日本で使われるようになったのは最近なのではないかとボクは思っている。

 とはいえ、DIYは実に趣味と相性がいい。自分で設計した家具や道具を自作するのだから、やり込めばやり込むほどおもしろさが増してくることでしょう。そんなDIYを趣味にする「タイランド・エリート」メンバーもいるはずだ。

 そんな人が移住先のタイでDIYをする場合、どういったところでどういった道具が手に入るか。この回ではそんなDIYや日曜大工、あるいは自宅の簡単な修理で使う道具や材料の入手先を見ていこう。

街中の金物店や道具店で手に入る

 住宅街や商店が並ぶエリアに日曜大工の道具を売る店がある。バンコクだと、中華街の裏手だとか、プラトゥーナーム市場の近くにある有名なカオマンガイの店から何軒か隣など。工具はもちろん、塩ビ管などの材料も多種多様に並んでいる。

 こういった店の難点は英語がまったく通じないので、タイ語で問い合わせて手に入れるしかないことだ。一方で、タイ語ができれば逆に詳しくなくてもこうしたいああしたいと伝えれば一緒に考えてくれ、必要なものを教えてくれるという親切な面がある。ただ、こういった工業系のタイ語というのはとても難しい。タイではエンジニアは高給取りだったりするが、それはこういった知識がしっかりしていないといけないからだ。

 とにかく、いい店さえみつかればあらゆる道具や材料が手に入るといってもいい。こういった店にはプロも訪れるので、趣味程度の人向けの店とはわけが違う。

今回の連載で冒頭に日本から持ってきた方がいいものとして常備薬も挙げたが、その際に理由としてタイ語が難しいからとした。だから、DIYが趣味の人が化学薬品などのタイ語がわからないので日本から持ち込もうと考えることもあるかもしれないが、それはやめておこう。基本的にタイでも手に入るし、タイで手に入らないならそれはタイでは違法のものになる。また、航空法にも抵触する可能性もあるので、DIYの道具はタイで揃えるべきだ。

ホームセンターが一番わかりやすい

 タイ語に自信がないなら日本でいうホームセンターに行く。タイのホームセンターは全土展開系と地方に散見される大型路面店があるが、全土展開の「Home Pro」(ホームプロ)がいい。バンコクにもあるので、足を運びやすい。

 ホームプロは路面店と商業施設入居型がある。いずれも大型スーパー同様に売り場面積は広い。道具はもちろん、各種材料、照明、キッチン周りの機械やエアコンなども売られている。家電の回でも出てきたパワーバイと同じポイントカードが利用できる。

 前項の町の道具屋はわりと暗いし、狭い。一方ホームプロの店内は広々しているし、明るい。そのため、ほしいものを探しやすいメリットがある。また、店員が多く、各列にひとりはいる。ほしいものや場所がわからなければ相談すれば適当な棚に連れて行ってくれる。そこまで行けば、今度はそこにその棚の専門員がいるので、そこでまた詳しく話を聞ける。

 DIYが趣味ではないにしても、自宅の電球が切れたとかガラスの隙間を埋めたいという簡単な修繕の道具も揃う。ホームプロなら照明器具のエリアがあり、土台から電球までなんでもある。タイはわりと蛍光灯や電球がぱちんとなることが多いので、ボクもしょっちゅうホームプロに行って蛍光灯を買い直している。ガラス窓の隙間や壁などの穴を埋めるシリコンも豊富にあるし、いろいろと便利だ。脚立、金づち、ドライバー、ニッパーなどそれぞれに様々な種類が用意されているので、予算でいろいろなものが選択肢に上がるのも利点だ。

・Home Pro:https://www.homepro.co.th/

植木や家庭菜園はどうすればいい?

 DIYというのかどうかはわからないが、家庭菜園だとか植木を趣味にする人もいるかと思う。そんな道具もまたホームプロにあるし、大型スーパーでも植物の種を売っているところもある。

 あるいは、もっとタイの雰囲気を感じながら栽培をしたいという人は市場に行くといい。タイ人向けの菜園のショップがあったりする。もしくは、「チャトチャック・ウィークエンドマーケット」もありだ。マーケット内にそういったショップ並ぶエリアがある。エリア分けはネットなどでマップを見るか、いくつかのゲートに守衛が待機するような部屋があるので、そこに行くとマップをもらえる。ただ、なくなったら終了で、かなり早い段階で品切れになるので、早めに行くべき。

 チャトチャックであれば、南側のガンペンペット通りを国鉄バーンスー駅の方に向かっていくと、左側に植木や周辺の道具を売る「チャトチャック・フラワーマーケット」がある。ここならかなりタイっぽいものが手に入る。しかも、タイ人向けなので値段は安い。

タイを出るときはリサイクルショップに持ち込む

 今回は移住で買い揃えたい日用品などをどこで買うべきかをまとめてみた。最後に、逆にタイの移住を終えて日本に帰国する、もしくはほかの国に移住する場合も考えておきたい。移住当初はそれほど多くなかった荷物も、長く住めば思い出と共に様々な物で部屋があふれかえる。それらはコンテナを予約して日本に持ち帰ることになる。

 とはいえ、たとえばテレビは映像方式が違うので持ち帰っても意味がないし、そもそも電化製品は電圧が違うので使えないものも多い。洋服も季節によっては、あるいは購入時期によっては日本で着られないもの、着たくないデザインである可能性もある。そうなると、それは移住当初のように荷物は取捨選択していくことになる。

 かといって、捨ててしまうのはもったいない。そんなときにはいくつか対処方法がある。まずひとつは、タイに住む友人にあげること。これは家具などの大型のものも含まれる。代々、在住日本人の間で引き継がれる家具などもあったりする。コンドミニアムでお世話になったタイ人などにも声をかけてあげると物によっては喜ばれる。特に家電は思っている以上に嬉しがってくれる。

 あとはリサイクルショップに査定してもらうことだ。日本人居住エリアに数軒、それから郊外に日本の中古品を売るショップがあるので、日本から持ってきたものであればそういったところに出すこともできる。もちろん高額での引き取りはブランド品などに限るが、捨てるよりはマシ。

 ネット通販に個人出店も可能だし、日本人向けの無料誌の投稿コーナー、あとは個人のSNSで引き取り手を募ってもいい。意外と反応はあるようなので、日本語、英語、タイ語で載せるとなお引き取ってくれる人が現れやすい。

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