第1回目 移住したばかり 日本から持って行くべきもの

かつてタイ移住というと、ほとんどが自分でビザを取得し、ただただタイが好きという情熱だけでやって来た人だった。2000年初頭でさえインターネットでタイの情報はほぼ得られなかったし、在住日本人も少なかったので日本人間の情報交換もままならなかった。今はそれなりに資金があれば「タイランド・エリート」でいきなり20年先の滞在まで約束され、かつ移住のノウハウは日本人間やネットで共有される。

20年くらい前の移住といえばアパートからスタートする人が多かった。今はセキュリティーや利便性の関係もあってコンドミニアム(分譲マンション)の部屋を借りる人が多いようだ。ちょっと郊外なら1万バーツ台からあるので、確かにコンドミニアムの方がいい。「タイランド・エリート」のメンバーなら都心にコンドミニアムを借りる人が大半でしょう。

いずれにしても、タイの賃貸物件は基本的には家具がついている。だから、極端には契約したその日に身ひとつで入居が可能という、日本では考えられないくらい引っ越しがしやすい。ただ、日本から移住する最初の引っ越しでは日本から持ち込んだ方がいいものもあろう。ここでは意外とネットなどでは語られない、タイ移住の最初の持ちものを見ていきたい。

なんでもあるので基本的にはなにも持って行かなくてもいい

 タイ、特にバンコクや大きな都市は物が豊かになって、ほしいものはなんでも手に入るようになった。2000年代初頭は結構「ないもの」が多くて、日本の居住環境や物質的豊かさが懐かしく思えたもの。しかし、今は日本で手に入って、タイで手に入らないものはほとんどないのではないか。スーパーやデパートに行けばなんだってあるし、ネット通販も発達したので外国製品も容易に手に入る。

 だから、基本的には日本からタイに向かうときには当面の着替えを持って行けばいいくらいだ。使い慣れた家電もタイと日本では電圧が違うので機能しない場合もある。パソコンやスマートフォンは製品や充電器のラベルなどに「100-240V」などと記載されていれば日本・タイの双方で使える。

 テレビはもっとわかりやすい。日本はNTSCという方式でタイはPALなので、少なくともアナログ時代は互換性がなかった。今はデジタルなのだが、それでもこの方式の違いは影響があるようだ。映画などのDVDを持ち込んでも映らないケースもある。特にデッキに対してDVDそのものにリージョンコードがかけられているからだ。日本は2、タイは3なので、タイのデッキで日本のDVDを、日本デッキでタイDVDを観ることができない。ただ、ボクの知る限りの話だが、タイのデッキはリージョンフリーでどの国のDVDも再生できる。

とはいえ、テレビもデッキもそれなりの大きさ・重量なので、移住時に持参するには労力がかかりすぎる。それに、先述のようにコンドミニアムなら大概テレビ付きなので日本から持って行く必要がそもそもない。

これくらいは日本から持って行った方がいいかも

 ここから日本から持って行くと便利なものを紹介していきたい。あくまでも、ボク自身の個人的な見解で、年齢や住む場所、性別で感じるところが違うかもしれないが、参考にぜひ。

・歯ブラシ

 タイでも歯ブラシは手に入るが、意外としっくりくるものがない。ボクはヘッドが小さく、かつブラシが固いものを好むが、このタイプがタイにはほとんどない。おそらく欧米のデザインと機能を踏襲しているのではないかと推測する。ボク個人は好みのタイプがないので、日本に来るたびに購入していく。バンコクの日本人向けスーパーにはおそらくあるのだろうが、残念ながらボクの生活圏内にそのスーパーがないのでどうしようもない。

 こういった、しばらく慣れるまで、あるいは買いに行く時間ができるまでの繋ぎとして日本のものがいい場合も少なくない。スーツケースに入れられるサイズなら、そういうものは持ってきた方がいい。

・傘

 特に折り畳み傘。タイ人はわりと最近まで傘をあまりささなかった。雨が降ったら雨宿りして、やんだら動き出す。のんびりした生活だったけれど、近年はビジネスが世界標準になってきて、雨だからって立ち止まってはいられないという風潮になっている。

 そのため、折りたたみ傘をカバンに入れて出かける人が増えたのだが、そもそも存在していなかったこともあって、ずいぶんとクオリティーの低い傘が多いと思う。傘に関しては日本のメーカーのものがいい(とはいっても中国製が多いかもしれないが)。

・目薬

 風邪薬などいわゆる常備薬は多少日本から持って行くといい。というのは、身体がタイの薬に慣れていないことが第一なのだが、移住したばかりのときに薬局に行って目的の薬を間違いなく買えるかどうかにも不安がある。当然日本と同じ商品名もあれば、違う名前もある。むしろ後者が多い。バンコク都心なら日本人経営で日本人通訳常駐の薬局があるが、そこに必ず行けるとは限らないので、当面の常備薬は持参した方がいい。

 特に目薬は持って行くべき。基本的にタイでは点眼薬は一般的ではないのでほとんど売っていない。だから、目薬が必須という人は必ず持って行くこと。目に関しては本当に日本と違う。眼帯も日本のように紐を耳にかけるものはなく、楕円形のガーゼと楕円形のふたのようなものを目につけてテープで貼るので、使い勝手が日本とは大違い。

・文房具

 これは使わない人は一切不要だが、ボクは職業的に取材でメモ帳を使うので、必須だと感じる。タイのメモ帳は紙質がよくなくて、書きづらい。紙の繊維の方向が日本と違うのか、ボールペンはすぐに目詰まりを起こして書けなくなる。そのため、ボクは取材ではシャープペンシルを使用する。それでもタイの紙はシャーペンの芯が引っかかって折れやすい。

 ちなみに、タイだけではなく東南アジア全般でそうだが、黒のボールペンも少ない。基本は青。黒で書きたい人は日本で買った方がいい。ただ気をつけたいのは、タイでは印鑑ではなくサインが基本になり、その際は青を使わないといけないことが多い。黒はコピーと区別がつきにくいので、サインとして認められないことがある。

・おむつと粉ミルク

 ボクは子どもがふたりいるものの、タイで生まれてタイ人として育てているのであくまでも推測になるが、小さな子どもを連れての移住ならおむつ、粉ミルクは当面の分は持って行った方がいい。産着やベビー服はタイのスーパーで安価に手に入る。ただ、デザインがそれなりにいいものは日本より高いので、日本の子ども用品専門店などで買った方がいいこともある。

 おむつや粉ミルクはあくまでも当面のもので十分。スーパーやデパートにも売っているので、含有成分やサイズなどを見てみる選べばいい。日本のブランドもあるし、少なくとも中国のように成分に不安があるということはない。タイは子どもの口に入るものや健康食品に関しては基準が厳しいので安心していい。

・化粧品

 これも当面の分はという感じ。日本のブランドや世界ブランドは結構高いらしい。一方で、タイ製のそれなりに高品質で天然素材でできた化粧品もあって、わりと安価。そういった日用のアイテムをみつけられるまでの分は持って行った方がいいかもしれない。

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