第5回 実は外国人でも車が買える

「タイランド・エリート」のメンバーの中でそれなりの資金を持ってタイ移住を計画されている方だと車の購入を検討している人もいるのではないか。そうでない方の中にも、資金さえあれば車を購入したいという方もいるかと思う。

 連載最後の今回は、タイで自家用車を持つことについて紹介したい。意外とハードルそのものは高くないので、ぜひ検討材料としてもらえればと思う。車はとにかく自在に移動できるので、たとえばバスの窓から見ていた店や場所にも気軽に行けるようになる。週末の旅行もより気軽になるのでおすすめだ。

外国人でもローンが組める

在住者でも知らない人がいるが、実は外国人でも自動車購入ではローンを組める。コンドミニアム(分譲マンション)は本来は購入手続きの際に必要な書類の関係で外国人は一括購入が原則的になるが、車に関しては条件が揃えばローンを組むことができる。

その条件というのは、基本的にはタイ国内に定期収入があることだ。すなわち、一定以上の月収で、労働許可証があること。「タイランド・エリート」はメンバーシップだけでは本来は労働ができないのであきらめてしまう人もいるだろう。

しかし、よく考えてほしい。ディーラーの営業マンも売上をほしいわけなので、みすみす客を逃したくない。営業マンの知識と経験にもよるけれども、可能な限り買ってもらうために協力してくれるので、まずはダメで元々とディーラーに相談に行くべきだ。様々な方法でローンを組むことを考えてくれる。

いずれにしても、タイ人よりはやや審査は厳しい。ご存じのようにタイにはホンダ、トヨタ、日産、スズキ、スバルなど、日本車ブランドはほとんどあって、タイでも生産している。こういったブランドの正規ディーラーに行くと、ショールームにカタログが置いてあり、その辺りにローンの一覧がある。車種ごとに頭金と月々の支払い目安が記載される。日本人の頭金はその金額のおおむね1.5~2倍くらいと見よう。そうすると月々の支払額もちょっと変わってくるが、それほどきついローンにはならないはずだ。

ちなみにディーラーによってローンを組む銀行が違う。そして、銀行によって外国人に対する考え方が全然違うので、同じブランドでもディーラーによって審査内容が違ってくる。何軒か周って選ぶといい。もちろん、一括購入なら観光や一時通過以外のビザがあれば買えるので、「タイランド・エリート」のメンバーは問題ないでしょう。

中古車と新車ならどちらがいいのか

 タイにも中古車市場がある。日本人にはあまり関係ないが、タイでは現金以外でも中古車を購入できる。それは不動産やゴールド、歴史的価値のあるお守り(プラクルアン)などだ。一般的に資産価値が保証されているので、物々交換が可能になる。

 ボク個人からすれば、購入するなら新車がおすすめ。まず、タイは常夏なので熱がひどく、車が劣化しやすい。日本以上に定期点検や修理は必須だ。中古車だとその頻度が高くなり、結果維持費が高くなってしまう。

 それから、そもそも昔は車がステータスシンボルだったので、今も値段が高い。これは税金の関係だ。輸入の場合、CIF価格に80%くらいの輸入関税がかかり、さらにCIF価格+輸入関税の金額に物品税が30~50%かかってくる(これは排気量などで変わる)。車のジャンルによっても違い、スポーツカーなどの趣味の乗りものは日本の3倍くらいの金額になる。タイの現地生産車両も結局部品が輸入になるなどで、結局タイ産日本車もそこそこ高い。

 例を挙げると、日本を代表するスポーツカーのひとつ『日産GT-R』のTスペックというクラスが、日本の公式では1590万円と提示されている。日産タイのサイトで同じ車種を見ると、輸入価格は1220万バーツ、すなわち4360万円。日本価格と比較してちょうど3倍くらいの開きがある(執筆時の値段とレート)。

 元がこれだけ高いと、中古車もそのまま高い。ボクのタイで初めて買った車はホンダのジャズだ。日本ではフィットと呼ばれる車種になる。当時55万バーツくらいで購入したと記憶している。これを4年くらい乗って売ったのだが、売却価格は42万バーツくらい。この車種はそのまま市場に出ると、おそらく40万バーツ台後半となったはずだ。

 つまり、だ。ボクは新車を実質13万バーツで買ったも同然。中古は何年も型落ちしているのにそれほど販売価格が下がらない。しかし、それを改めて中古車業者に売却する際はもっと安くなってしまう。そうなると、中古車を買う方が損をするということになる。

タイで車を維持するにはこれくらいかかる

 タイで車を維持するにはどれくらいの費用がかかるのかも気になるところでしょう。あくまでも日本ブランドの普通の車を買った場合にかかる値段を考えてみよう。

 まず、日々かかるのはガソリンだ。燃料はいろいろあるが、今はタイではガソホールという、ガソリンとアルコールを混ぜた燃料が主流になる。ガソリンよりも安く、車もそれが原因で壊れることもないので不安はない。これが、日本でいうレギュラーを意味するオクタン価91のタイプだと20バーツ前半。ハイオクのオクタン価95タイプは20バーツ半ばくらい。ハイオクの方でまったくのゼロから満タンにすると価格変動があったとしても1500バーツ前後というイメージだ。

 点検もタイは頻繁になる。正規ディーラーで点検をすると、1回あたり安くても5000バーツくらい。大きな交換などがあると平気で1万バーツが飛ぶ。日本円で3.5万円くらいだ。しかも、年に2回以上は点検に出すことになるので、それなりにかかってしまう。

 保険も毎年かかる。任意保険は前回紹介したが、1等で2万バーツ台、車検費用と重量税と自賠責保険でだいたい1000バーツ前後のイメージだ。ちなみに、タイでは新車登録から7年未満は車検がない。毎年税金と自賠責保険の支払いだけで済む。7年以降は近所の車検代行に持って行けばその場で車をチェックして、あとは書類を向こうが処理してくれる。車は預ける必要はなく、すべて込々で、先の1000バーツくらいだ。これは非常に安い。

 もうひとつ、ちなみに、を。タイでは新車はまず仮登録される。本登録には1ヶ月くらい要するので、その間は仮ナンバーをつけることになる。それがタイでは赤い色のプレートなので、ひとめで新車だとわかる。中にはそれをステータスのひとつと見る人もいて、ディーラーが本登録のナンバーを陸運局からもらってきているのにつけ変えず、ずっと赤のままでいるケースもある。ただ、厳密には赤ナンバーは他県に出てはいけないし、日が沈んでから昇るまでの間も本来は運転してはいけないことになっている。

行動範囲が広がるので運転はおすすめしたい

 実は以前は外国人の場合は中古車の個人輸入という裏技があった。日本人なら自分名義で買って1年6ヶ月以上乗っていた車を、タイ移住の際に個人輸入し、自分で受け取ることにすれば、税金が大幅に免除されるルールがあったようだ。しかし、2019年ごろに現政権が交通の安全性などに配慮するために中古車の個人輸入を禁じたようで、今はそれはできなくなっている。

 今回の連載では自分で車を運転することについてクローズアップしてきた。タイは交通マナーが日本よりもよくないが、実際に運転して見るとそれほど危ないことはない。タイの道路は右に左に曲がりくねっているので、日本よりもハンドルをぐるぐる回しながら運転するイメージがボクにはある。要するに、運転が結構楽しい。

 レンタカーもあるので必要なときだけ使うという手もあるし、生活の基盤をタイに築き、かつアクティブに生活するのであれば自家用車もあるといい。今回紹介したようにローンを外国人でも組めるので、わりと自動車購入のハードルは高くない。いつかタイを去るときが来たとしても、さすがに買値より高くなることはそうないけれど、日本よりも高く売れるので総合的に見ると日本より安く保有できる。

 ボクは子どももいるので、車があることで生活が非常に楽になったし、行動範囲が広がって自家用車を持つことは正解だった。だから、「タイランド・エリート」メンバーを含め、タイに移住した人には車の運転をおすすめしたい。

筆者紹介

高田胤臣(たかだたねおみ)1977年東京都出身。1998年に初訪タイ、2000年に1年間のタイ語留学を経て2002年からタイ在住。2006年にタイ人女性と結婚。妻・子どもたちは日本語ができないため、家庭内言語はタイ語。
現地採用としてバンコクで働き、2011年からライター専業になる。『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)など書籍、電子書籍を多数出版。書籍、雑誌、ニュースサイトなどに東南アジア関連の記事を寄稿中。

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