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第4回 もし運転中にトラブル・事故に巻き込まれたら

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タイで事故を起こしてしまった場合、もらい事故をしてしまった場合、どう対処するべきかや注意点をここで簡単にまとめておきたい。レンタカー、自家用車に限らず、自分が運転する場合は自分が責任者とならなければならない。日本でも事故を起こせばパニックになりやすいのだから、海外ならなおのこと。だから、事前に日本とタイの違いや、いくつかのシチュエーションから具体的にどんな行動を起こすべきかを考えておきたい。これは「タイランド・エリート」のメンバーであれ非会員であれ同じことだ。

交通違反で免許証を取り上げられた場合

 まず、トラブルの話から。近年日本では煽り運転などが問題視されているが、タイは割り込みを避けるために車間距離か短く、日本だったら煽りだと見られかねないくらい車間を詰めて走る。同時にタイでも煽りなどによる交通トラブルが多いが、日本でいうすぐにキレるような相手は日本以上に危険なので、なにかトラブルが起きそうになったら速やかにその相手から離れるなり謝罪した方が得策だ。

 それから、交通違反をすることもよくある。バンコクだと普通の交差点に見えるのに右左折のいずれかが禁止されていたり、ちょっとわかりにくいところが正直少なくない。標識などが視認できるかできないかに配慮なく設置されていることが多いのが要因だ。それから、スピード違反もよく摘発されるし、車線変更不可を見られていたりするなども頻繁に起こる。

 ちなみに、スピード違反は一般道よりは高速道路で多い。地方は国道の幹線道路が高速道路と同じような扱いで、警察官がスピードガンなどでスピード違反取締もしているが、近年は自動カメラ、日本でいうオービスも増えてきている。20年くらい前のバンコクは赤信号の信号無視も多かったが、今はほとんど起こらない。これは大きな交差点に自動の取り締まり用カメラが導入されたからだ。

 さて、意図せずに交通違反をしてしまった場合、どうすればいいのか。まず、一連の流れを説明すると、警察官が違反をみつけると対象車両を呼び止める。運転手は車から降りずに窓を開け、警察官に違反の説明を受ける。警察官は免許証を確認し、違反切符を切る。

 ここからが日本と少し違うのだが、このときに渡されるのは違反切符だけだ。免許証はその警察官が持って行ってしまう。違反者は罰金の支払いと免許証の返却を受けるために、その違反した場所を管轄する警察署に行かなければならない。このとき注意したいのは、違反してすぐそのまま警察署に行ってもだめなこと。なぜなら、切符を切った警官はまだ現場にいるわけで、免許証は彼のポケットの中だから。つまり、その警官が署に戻るタイミングを考慮しなければならない。正直、そんなのいつ帰るかなんてわからない。ある意味、よく考えられた抑止力なのではないかとさえ思う。

 ただ、地方の国道も含めて高速道路でのスピード違反の場合は、その場で支払うこともよくある。管轄署にはそう簡単に行けないというか、高速道路の上をどの署が管理しているかが一般の人にはわからないというのもある。地方の場合は免許を返してもらうのにバンコクから戻ってくるには遠すぎるという配慮もある、などの理由だろう。おもしろいのは、同じ違反でもバンコクより地方の方が罰金は安いことだったりする。

 カメラで違反を取られた場合は、後日証明する画像などの書類と請求書が送られてくる。本当に忘れたころに送られてくるので、思い出すまでに時間がかかるほど。ただ、運転者の画像はなく、車全体とナンバープレートだけが撮られているので、たとえば友人に貸して違反をされても、請求は自分に来るので注意だ。

 罰金は法令で最大いくらと決められている。あくまでも最大で、実際にはスピード違反でもほかの軽微な違反でも、実質的には100~400バーツくらいが罰金の相場だ。日本と違い、複数の違反の場合、タイでは全部加算されることもある。

 日本人はしないだろうが、一応飲酒運転についても。タイには酒気帯びはないので、ほんの少しのアルコール検出であれば見逃される。ただ、飲酒運転と判断されると、本来はそのまま留置場送りになる。翌日ないし翌々日に裁判所で判決が出され、だいたい5000バーツくらいの罰金刑となる。保釈制度もあり、2万バーツくらい(今はもっとかかるかも)を払えば留置場は免れる。ただ、裁判所に来なければ全額没収だ。ちゃんと裁判所に来れば、保釈金は返却される。あくまでも検問などで発覚したケースの話で、それでも法的には5千~2万バーツの罰金、1年未満の禁錮がつく場合もあるし、事故を起こせばもっと罪は重くなる。

事故で呼ぶのは警察ではなく保険会社

 交通事故が起こったときも日本とは対応が随分違う。まず、自損だけ、あるいは相手の車などに軽くぶつけた物損の場合は日本と違い、呼び出すのは警察ではなく保険会社だ。日本は事故証明をもらって保険会社に請求するが、タイの場合は加入している保険会社に電話をすると、近隣にいる担当者が飛んできて、保険会社が自ら現場検証を行う。

 交通事故で警察を呼ぶ場合は話がこじれたときと人身事故のときだ。こじれるというのは、結局どっちが悪いのかわからないときなど。というのは、保険会社が現場検証をするわけだが、このときは支払う義務がある方が自分の保険会社を呼ぶ。だから、こじれるというのはすなわちどっちが保険会社を呼ぶか、という話になるからだ。

 次回は自分で車を購入するケースを紹介するが、その際には保険加入は必須だ。タイにも自賠責保険、すなわち強制保険がある。それは車検を受けるときに重量税などと一緒に払うものだが、日本同様、カバー範囲は狭い。そのため、多くの人が任意保険に加入する。その際、一番安心なのが、1等の保険だ。タイの保険には等級が明確にあって、ニーズによって選択できる。1等はよほど悪質でなければ自分に過失があっても全額、自分の車と相手の方に修理代が支払われる。ケガをさせた場合もそこそこに高額の保険金が支払われる(ただ、タイの物価が基準なので、日本円にするとおそろしく安いけれど)。

 2等3等になると、相手の修理費は支払われるが、自車の修理は限定されたり、一切支払われない。1等の保険料はコンパクトカーで最初は2万バーツから3万バーツ台。これが3等になると1万バーツ以下、場合によっては5000バーツくらいで加入できてしまう。タイの場合、加入していればまだいい方で、任意保険に加入していない車も少なくないのが怖いところだ。そういう相手だと絶対話し合いがこじれるが、1等保険に入っていればこちらに非がなくてもとりあえず保険会社が来てくれて、こちらの分は修理代を払ってくれ、後日過失者に請求もやってくれる。

 保険は保険会社に直接問い合わせて加入する方法と、ブローカー経由がある。直接だと電話やネットで加入でき、ブローカーは毎年更新の時期に向こうから連絡してきて、複数の保険会社を提示して有利なところを教えてくれる。保険会社を鞍替えしたとしても、無事故無違反なら別の保険会社にも割引を適用してくれたりと、案外いいサービスをしている。たとえばボクなんかはほぼ請求をしないで何年も経つので、近年は更新時の車チェックすらしなくて、支払い時だけ家に来てくれて更新となる。

 タイも運転者指定や、修理工場が正規ディーラーか町工場かなどいろいろな条件もあって、条件が悪くなるほど保険料は安くなる。いずれにしても、1等保険ならタイはわりと条件がどれもいいので、日本よりも安心感が高いのが特徴だ。

筆者紹介

高田胤臣(たかだたねおみ)1977年東京都出身。1998年に初訪タイ、2000年に1年間のタイ語留学を経て2002年からタイ在住。2006年にタイ人女性と結婚。妻・子どもたちは日本語ができないため、家庭内言語はタイ語。
現地採用としてバンコクで働き、2011年からライター専業になる。『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)など書籍、電子書籍を多数出版。書籍、雑誌、ニュースサイトなどに東南アジア関連の記事を寄稿中。

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