第3回 レンタカーを借りる場合の注意点

Exif_JPEG_PICTURE

タイで運転するための免許証問題がなくなったら、今度は実際に運転してみたい。わざわざ購入せずとも、タイにもレンタカー業者は無数にある。それらから車を借りて運転をすることも可能だ。タイは車が日本よりも高いので、当然維持費もそれなりにかかる。だから、わざわざ購入しなくても、必要なときに借りればコストがかからずに済む。

今回はそんなタイでのレンタカーについてのいろいろを見ていこう。

いくつかのタイプがあるレンタカー

 タイもレンタカーは車のサイズで料金が変わってくる。コンパクトカーなら相対的に安いし、10人乗りのバンなどはそれなりの値段になる。基本的には日本車が多い。軽自動車や左ハンドルの外国仕様車は法令上なのか、一般車両でもほとんど存在しない。

 日本のレンタカーと大きく違うのは、多くのレンタカー業者が車だけでなく、運転手も用意していることだ。だから、借りるときに運転手がついているのかいないのかも念のため確認した方がいい。地方に行く場合、運転手の宿泊費や残業代もかかってくるので、高くなってしまう。

 レンタカー業者は個人でやっている人からちゃんとした法人経営まである。また、タイ人経営、外資、日本人経営といろいろ。日本人経営の場合は運転手つき、あるいは長期のリースが多い気がする。だから、どちらかというと個人向けというより法人契約向けといったところ。

 タイ法人のレンタカー業者はできるだけ大きなところを使うことをおすすめする。地方は個人経営が多く、バンコクは法人が多い。その中でも大きなところにすれば、補償関係は万全でいい。保険も自動的に加入されているし、車両にはGPSがついていたりして、万が一山の奥で故障してもサポートが向かってきてくれ、代車も用意されることがある。それくらいサービスが万全なので安心だ。

 外資系は空港の到着フロアに窓口がある。もちろんバンコク都内や各県にも窓口があるので、地方で乗り捨ても可能だ。なにより空港にあるので到着したらすぐに借りられるメリットはなかなか大きい。システムもしっかりしているので、料金も明確だし、車両の整備も安心感がある。

 最近はカーシェアリングもバンコクに登場している。ただ、まだ登場したばかりのサービスで、どこまで利用価値があるか未知数なので、安心して借りられるレンタカーのみを今回は紹介していく。

タイのレンタカーの借り方は日本と同じ

 レンタカーの借り方は基本的には日本と同じだ。運転免許証とクレジットカード、パスポートの提示などで借りることができる。空港なら窓口で手続きできるし、今はネットでも予約が可能だ。ただ、タイにおいては我々は外国人。信用度の問題で、基本的には運転手と支払いで使用するクレジットカードの名義が同じ人物でないとちょっと嫌な顔をされるかもしれない。個人事業者だとクレジットカードがそもそも使えないので、現金払いになる。

 借りる手順も日本と同じだ。書類の手続きが終わったら、係員と共に車の周囲の傷などを点検する。ボクの経験だが、これはとにかく細かいところまで見た方がいい。出発の点検時はあまりチェックしないのに、引き取りの際は徹底的にチェックして、細かい傷を指摘してくるからだ。

ボクが外資系のレンタカーを借りたときのことだ。手続きが終わって点検をしたものの、わりと大きな傷を係員は見逃した。それを指摘すると「これだけ大きいから言わずもがなでしょう」と。それでも台帳にちゃんと書くように指示すると「わかった」と言ってくれた。ところが、返却時に別の係員が出てきて、その傷は台帳に書かれていないと言われた。ボクはタイ語ができるのでかなり強めに抗議した結果、また「わかった」と言ってくれたので、ボク自身にはなんの請求もなかった。

こういうことがあるので注意したいのだが、逆にまったく気にしない人もいる。北部チェンライ県に行ったときのことだ。安宿に泊まり、その日はシンハビールの直営農場を観に行こうとレンタカーを宿に頼んだ。すると、個人経営の業者が来て、とてつもなく古い、非力なジムニーを貸してくれた。1日700バーツとレンタルバイク並みの料金だった。1日乗り回し、夕方返却すると、ガソリンの残量や傷などなにも見ないで、キーだけ受け取ってさっさと帰って行ってしまった。もしかしたら、あとで莫大な請求をする詐欺かなと疑ったが、今日に至るまでなんの連絡もない。

トラブルのためにスマホは必ず使えるようにしておく

地方に多い個人業者はこういったいい加減さが楽でいいのだが、車の整備もほとんどされていないこともあって、ちょっと注意が必要でもある。保険も入っているかどうかわからない。個人業者だと営業許可も取ってない可能性もある。そうなると、車の保険は個人名義の可能性がある。タイも運転者指定の保険があるので、それだとしたら保険は使えないことになってしまう。

ただ、前述のチェンライ県の業者のように、いい加減だけどいい人だとレンタル料も安いし、手続きも素早くて話が早いというメリットがある。地方だと人柄がいいことはよくあるので、そのあたりはタイの田舎巡りの楽しみでもあったりする。あくまでも外国人が少ないエリアでの話。プーケットやチェンマイ、パタヤなどは逆に悪質な外国人も多いから、変な優しさを見せない業者が多く、話はちょっと違ってくる。

レンタカーを借りていて万が一事故やトラブルに巻き込まれた際はどうすればいいのか。細かい話は次回にするが、とりあえず今はスマートフォンがタイ国内でもちゃんと繋がるようにしておくことが大切だ。警察や保険会社、レンタカー会社に連絡するために必須と言える。

タイの場合はわりと自分で事故を起こすというよりはもらい事故の確率の方が高いと思う。いくら自分が安全運転していようと、事故に巻き込まれるときは巻き込まれてしまう。だから、運転する場合は事前にいろいろなトラブルの例や対策方法を勉強しておいた方がいい。問題は地方だとタイ語しか通じないことが多いことだ。それに関してはここはタイなのだから、タイ語ができない方が悪いということになってしまう。

それでも、スマホがあれば翻訳などもできるので、やはり通信が可能な状態にしておくことがベストでしょう。「タイランド・エリート」メンバーなどは長期滞在のためにタイの通信キャリアで電話番号を取得しているだろうから、その点は問題ないとが思うが。

あとは交通法規なども最低限は頭に入れておくべきだ。これらはタクシーなどに乗っているときに見ていればだいたいわかってくる。ボク個人としてはタイのことをほとんど知らない人はすぐに運転し始めない方がいいと思う。ある程度、運転マナーやルール、タイの交通上の常識を知ってからでいいのではないか。そう思う。

筆者紹介

高田胤臣(たかだたねおみ)1977年東京都出身。1998年に初訪タイ、2000年に1年間のタイ語留学を経て2002年からタイ在住。2006年にタイ人女性と結婚。妻・子どもたちは日本語ができないため、家庭内言語はタイ語。
現地採用としてバンコクで働き、2011年からライター専業になる。『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)など書籍、電子書籍を多数出版。書籍、雑誌、ニュースサイトなどに東南アジア関連の記事を寄稿中。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事