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第10回「子どもたちの学校選びは自分たちと子どもたちの将来を見据えて」

実際問題、子育てに正解はない。貧しい世帯から優秀な経営者が出ることだってあるし、逆に子ども時代はエリートだったのに没落することだってある。だから、結論から言えば、タイへの移住に際して子どもたちをどう進学させるかは、家族の方針で決めることなのではないかと思う。

ただ、前提として『タイランド・エリート』を利用して移住すると考えると、それなりに裕福な世帯が利用するビザなのだから、あまりにも低い水準の教育機関に子息を入れてしまうともったいないとも思う。タイであれ日本であれ、子どもには最適な教育を与えていきたいものだ。

移住者が進学させる学校のメリット・デメリットのまとめ

 今回紹介した進学先の中で、大きな選択肢だった3つの教育機関のメリット・デメリットを簡単にまとめておきたい。

■日本人学校

・メリット

 日本の教育を受けられる

 バンコク校は進学校

・デメリット

 中等部までしかなくその先を考えなければならない

 日本の学校以外には進学しにくい

■インターナショナル校

・メリット

 ネイティブ並みの英語が身につく

 幼稚園から高校まで一貫教育も受けられる

 英語圏などに進学・留学しやすい

・デメリット

 学費が総額で数千万円もかかる場合もある

 日本の学校に進学しにくい(ただし、帰国子女枠が利用可)

■タイの学校(主に私立)

・メリット

 ネイティブ並みのタイ語が身につく

 学費が比較的安い

・デメリット

 タイにいつか帰化する以外はタイの学校卒業は意味がない

 タイの大学以外には進学しにくい(ただし、日本なら帰国子女枠はある)

 ざっとこんなところであろう。要するに、子どもを含め、移住家族がどこに向かっていくかを思い描いていないといけないということでもある。将来的には欧米などの第3国に移住するつもりもあるならばインターがいいし、日本で暮らしたり進学、就職する予定がないのなら日本人学校に入るメリットはあまり高くない。

「タイ」には自由という意味がある。タイ人は根っからの自由人で、他人に干渉されることを極端に嫌う。自分が思った通りに生きたい人ばかりなのだ。だから、自分の権利を侵害されないためにも、他人に必要以上に干渉しない。

 これは多くの外国人がタイに来て「タイは居心地がいい」と感じる要因のひとつだ。他人の目を気にせず過ごせ、タイ人はそんな自分を受け入れてくれる。特に他人に過干渉で厳しい日本社会から来ると、タイの自由さにどっぷりとハマってしまう。

 しかし、これもまた移住を不成功に導く大きな罠でもある。諸刃の剣なのだ。というのは、しっかりと「自分」を持っていないと、タイの楽な環境に流されてしまい、いつの間にか自堕落な生活に落ちていくのだ。

 だから、タイに魅せられて移住するのであれば、まずはその目的をしっかりと持ち、それに邁進する覚悟を持つべきだ。特に今回は子どもを連れての移住を前提に話している。自分自身に負けてしまわないよう、子どもたちのためにもしっかりと移住の目的は確立しておこう。

いつかはタイに戻りたいというほどいい環境でもある

 ボク個人の意見は、タイで子どもを育てることは実に素晴らしいと思う。時代というのもあるが、ボクが子どものころは日本の学校は窮屈な場所だった。タイの学校は多少いじめはあるものの、ちゃんとした学校に入れればそういった問題とは無縁でもある。

 ボクの娘は今現在は中3で、去年まだコロナ禍の規制が厳しくなる前、試験終わりに友人と映画を観に行くと言い出した。広範囲から生徒が通っているので、結局商業施設に親がそれぞれの子どもたちを送迎する。ボクが娘を送っていった。現地に、てっきり娘と友人の数人だけと思ったら、男子も含めてクラス全員が集まっていた。実に仲がよく、平和であることか。

 日本人学校の場合、だいたい年間カリキュラムが終わる3月4月になると生徒の入れ替えが始まる。進学もあれば、親の帰任もある。2020年と2021年の4月は去る者の数がかなり増えたようだ。コロナ禍で不安が大きかったことや、日本でいう春休み(タイでは夏休みに相当する)に一時帰国して、そのままタイに帰れなくなった子どもや親もいたのだ。2021年は特に、自らの意志で帰国を選択した人が多い。

 ボクの友人は夫がタイ人で、長女が来年に日本人学校中等部を卒業することもあって、コロナ禍、高校受験を考えた結果、小学生の息子と共に、2021年春先に日本帰国を選択した。こういう家族も今、本当に少なくない。そして、みんな共通して言うのは「またいつかタイに戻りたい」ということだ。

子どもの教育の観点から見てもタイランド・エリートはメリット多し

 タイ国内でタイの学校に進学する場合、ボクのようにタイ人との国際結婚ならなんら問題はない。将来的にも子はタイ国籍を選択するに違いないからだ。先の友人のように、母親が日本人だと、子どもも日本語が母国語になりやすい。だから、ほぼ日本人として育つ。一方、父親が日本人だと、多くがタイ人の母親の言語に従うようだ。だから、ボクの場合、家庭内言語はタイ語である。これくらいであれば、タイの学校でもなんら問題はない。

 日本人同士の夫婦なら家庭内は日本語で、子の母国語も日本語になることは間違いない。タイの学校は大学以外、現状はタイ国内でしか通用しない教育水準、あるいは学問レベルであるとも言えるので、どんな将来設計を描いているにしても日本人夫婦の世帯の子どもは進学先を日本人学校かインターにするのがいい。

 ビザの問題もある。本来、留学や語学学校への通学にはエデュケーションビザがいる。未成年者の場合は親のビザに連動するので、滞在に関してはいいが、習い事をしたり本格的に進学しようとすると問題が発生する可能性がある。だから、移住に際しては可能な限り、ビザの問題は早めに解決しておきたいところだ。

 たとえば親が会社経営を始めるのであればビジネスビザを取得し、家族はその家族ビザで滞在することが可能だ。これによって子どもは学校にも通える。ただ、ビジネスの当てがまだないという場合の移住には『タイランド・エリート』がおすすめだ。家族向けのステータスもあるので、あらかじめビザがしっかりと発給され、それも長い年月に渡って得られるとわかっていれば、これほどの安心感はない。そういった些細な心配事がときに大きな問題を引き起こすので、問題の芽は早めに摘んでおきたいところ。

 また、インターに進学した場合にはその先には第3国への進学や留学も考えられる。さらに、昨今のコロナ禍のように突如、タイを離れなければならなくなるケースもある。タイ人と婚姻関係にあれば婚姻ビザなどの再取得は容易だ。しかし、そうでない移住者はタイランド・エリートを取得していれば、タイを離れることになったとしても、この先何十年も自由に戻ってくることも可能だ。ビザは既定の期間、生き続けるからだ。

そういった気楽さもあるので、子どもの進学に関してはよく考えなければならないが、タイランド・エリートはタイ移住初心者にはなおのこと向いているのである。

筆者紹介

高田胤臣(たかだたねおみ)1977年東京都出身。1998年に初訪タイ、2000年に1年間のタイ語留学を経て2002年からタイ在住。2006年にタイ人女性と結婚。妻・子どもたちは日本語ができないため、家庭内言語はタイ語。
現地採用としてバンコクで働き、2011年からライター専業になる。『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)など書籍、電子書籍を多数出版。書籍、雑誌、ニュースサイトなどに東南アジア関連の記事を寄稿中。

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