第3回「スマホや関連機器を購入するならここに行く」
前回の最後にスマホ端末は、トラブルを考えるとタイで買った方がいいと書いた。では、タイでスマホを買う場合、いったいどこでに行けばいいのか。以前は携帯電話の聖地的な商業施設があったが、今はすっかり影を潜めており、ネットでもこれといった情報がない。逆にいうとそれほど簡単に手に入るようになった。タイでスマホを買う場合、大きく分けると下記が購入場所になると思う。
・携帯ショップ、ネットショップ
・チェーン店、家電量販店
・メーカー正規店
・キャリアオフィス
・その他
今回はこの5か所を詳しく見ていくことにする。
携帯ショップやネットショップで購入する
前提として、タイはスマホが決して安くない。iPhoneも当然売られているが、日本とまったく同じ機種がレートによっては数千円安い程度だ。飲食を含めた物価感覚からするとかなり高い。また、iPhoneよりもアンドロイドの方が主流で、一番人気のメーカーは韓国のサムスンがここ何年も人気機種ランキングの首位を取っている。
一応中古スマホもあるにはあるが、バッテリーの関係やタッチパネルの精密性、短いサイクルで最新版が出ることから、中古市場はだいぶ小さくなった印象だ。以前なら『MBK(マーブンクローンセンター)』が携帯ショップの聖地のような場所だった。今もその片鱗はあるものの、どちらかというと周辺機器やアクセサリーのショップばかりになった。
MBKだけでなく、大型の商業施設はどこも地下か上の方の階などの通路に個人商店のような携帯ショップがある。こういった店でもスマホを購入することができる。ほとんどがアンドロイドのスマホだし、中国系(あるいは台湾系)メーカーが多い。無名の中国ブランドなども見受けられる。iPhoneもそうだが、有名なブランドになるほど性能がよく、補償もしっかりしているし、なにより高い。無名ブランドはすぐに壊れるものの、とにかく安さが魅力だ。日本円で数万円が有名ブランドなら、無名ブランドは1万円以下で手に入る。
ただ、個人ショップの怪しい中国製スマホは要注意だ。タイはコピー品に対し定期的に取り締まりがあって、ほかの東南アジア諸国と比較したらそういったものはあまり売られていないし、そもそもタイ人が欲していない。しかし、観光客向けのエリアなどでは外国人がそういったショップをやっているケースがある。その関係者に話を聞いたことがあるが、電話性能よりバッテリーが劣悪でよくないそうだ。爆発するケースもあるという。だから、できればちゃんとしたブランドを買う方がいい。
それから、個人商店は法人化された大きいところだとネット販売もしているので、場合によっては安く端末が手に入る。ただし、ボクはあまりおすすめはしない。後述するが、やはり故障時に不安がある。こういう個人ショップは端末購入より、スマホ画面のフィルム購入などにおすすめ。提示価格が貼りつけ込みのことが多く、きれいに貼ってくれる。
家電量販店やチェーン店で購入する
デパート、特にセントラルグループには『パワーバイ』といった家電量販店がある。値段はほぼメーカー希望価格あるいは市場価格だが、各ブランドが揃っているので比較しやすい。アクセサリーも揃っているし、ポイントカードがあるので移住時の家電購入のついでに買うとお得。ただ、店員に専門知識がないので、場合によっては我々客よりも全然知らないこともある。
チェーン店というのは、前項の携帯ショップがより大きくなって全土展開しているようなショップだ。たぶん今だと3社くらいはある。これらはデパートの携帯キャリアオフィス近辺に必ずある。タイのデパートは同じ業種を同じフロアやエリアに集める傾向にあるので、キャリアオフィスに行けば絶対に目に留まる。
チェーンはどこも似たような品揃えと価格帯だが、機種によってはプロモーションでフィルムやケースが無料とか、購入時に店員が動作確認と同時にSIMのセットアップなどもやってくれ、すぐに使えるという利点がある。
このふたつの購入場所は大きな会社なのでオンライン販売もある。大手なので不良品を送ってくることは少ないが、やはりなにかあったときにやり取りできるタイ語力がなければ、最初から店舗に足を運んだ方がいい。どの商業施設にもあるので、そこまで大変なことではない。
家電量販店もチェーン店系もわりと不具合があった場合の交換はすんなりやってくれるものの、修理は期待できない。修理の場合は前項の個人ショップに持ち込んだ方がいい。
メーカー正規店で購入する
iPhoneは特にそうだが、オフィシャルのショップもある。外見からは代理店なのか直営店かはわからないが、各ブランドのショップが一応ある。もちろん、ショップを持っていないブランドもあるが。iPhoneと中国(台湾)ブランドに正規店が多い。
メーカー正規店で購入するメリットは、やはりなにかあったときの補償。稀に起こりうるニセモノや並行輸入品を掴まされることもないので、補償をしっかり受けられる。正規輸入品なので、タイの法令に引っかかることもない。実際にタイ人も多くが正規店で購入するようになっている。なんでも価格という絶対数字が優先されるタイでも、リスクを回避するために正規店を選ぶ人が増えたのだ。
デメリットは結局は価格。正規店は強気だし、補償をしっかりする代わりに高いということが多い。そもそも法令に則った輸入品なので、それなりの費用がかかっているということもある。先の個人ショップがほかよりも安いスマホを出している場合、並行輸入や非正規品、謎の輸入ルートを辿っている。謎といっても、たとえば小遣い稼ぎをしようとする外国人が数台スマホを持ち込んで売却するケースなどだ。輸入関税などがかかっていないので、厳密には違法の品になる。
正規品はそういったことがないので、安心もセットで買える。家電量販店やチェーン店系でもちゃんと輸入したものであるが、だいたいが正規店を経由していたりするので、ワンクッション置かずに安心を買うため、正規店を選ぶのも選択肢だ。
キャリアオフィスで購入する
キャリアオフィスというのは各携帯キャリアのスマホ料金を払う窓口だ。大きな商業施設には必ずあって、各社とも結構広くてきれいだ。一番老舗の『AIS』だと携帯料金を長くかつ多く払っていればVIP扱いになり、一般とは違うエリアに案内される。そこはコーヒーや菓子などが食べ放題・飲み放題でお得感がある。
そんなキャリアオフィスでもスマホを購入できる。新規契約する場合、今一番、安くかつ安心で端末を買えるのがキャリアオフィスだと思う。ただ、ここで買うと、スマホのSIMロック自体はないものの、契約期間に縛りが出てくる。日本のキャリアでよくある手法だが、その分端末が安く買える。分割で月額に上乗せされるなど契約によって違うはずだが、とにかくトータルで端末が安くなるのだ。
スマホを使う場合、特に「タイランド・エリート」メンバーで長くタイに生活することになる場合、プリペイドより月極の契約の方がずっとお得だ。そうなると、いずれにせよ来なければならないのがキャリアオフィスになる。ここならSIMと端末を同時に手にできるので、効率もいい。ボクとしてはキャリアオフィスで端末を購入することを一番におすすめしたい。
その他の場所で購入する
その他というともうほとんどまともな入手経路はない。道端で買ったり、個人間で売買するなどくらいか。唯一、買っても問題ないだろうという場所はコンビニくらいか。セブンイレブンなどでもたまに端末が売られている。
ただ。これは果たしてスマホなのかどうか。一世代前の携帯電話ともいえるような、最低限の機能しかない端末が1000バーツ(約3500円)もしない価格帯で売られている。とりあえず携帯を持っていないと落ち着かない人にはいいかもしれない。
このようにタイでスマホを購入できる場所はいくつもある。商業施設に入っていて、ちゃんとした法人で営業している店であればだいたいちゃんとしているので、好みで選べばいいのかと思う。
高田胤臣(たかだたねおみ)1977年東京都出身。1998年に初訪タイ、2000年に1年間のタイ語留学を経て2002年からタイ在住。2006年にタイ人女性と結婚。妻・子どもたちは日本語ができないため、家庭内言語はタイ語。
現地採用としてバンコクで働き、2011年からライター専業になる。『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)など書籍、電子書籍を多数出版。書籍、雑誌、ニュースサイトなどに東南アジア関連の記事を寄稿中。