第3回 健康に関わる趣味を探す

趣味にはいろいろなタイプがある。大きく分ければアウトドアとインドア、身体を動かすもの、動かさないもの。いずれにしても、趣味を持つことは精神衛生面で非常に有益だ。なにしろ好きなことをしているのだから。

「タイランド・エリート」のメンバーもまた、自身の目的などに合わせてビザの種別を選択していることだろうが、中には医療ツーリズムを目的にしている人もいるかもしれない。ある程度の年齢になると健康面に気を遣う。特にタイという外国。病院設備などは日本となんらかわらないにしても、言葉の面など不安な部分もある。だから、健康な身体を維持したい人も少なくないでしょう。

そこで今回は、健康に関係する趣味を見ていきたい。いろいろある趣味の中でも特に身体を動かすものがそれに当たるだろう。

タイ人にも浸透しているのがヨガ

近年、世界的に人気になっているのがヨガだ。バンコクにも無数にあるので、教室は選びやすい。日本人向きなら主にBTSプロンポン駅やトンロー駅のあたりのスタジオで日本人インストラクターがヨガ教室を開催している。どのインストラクターもインドや日本で有名な先生について学んできているし、日本の資格も保有している。

地方でもヨガ教室はある。南部の温泉で有名なラノーン県では、温泉の熱を利用したサーラー(休憩所)で毎週日曜日に無料ヨガをやっていた。コンクリートの床下にパイプを通し、そこを温泉を流して床を温めているので、身体が熱くなってくる。

それから、エアロビクスはタイ人に最も浸透しているエクササイズだ。というのは、20年くらい前から各自治体がインストラクターを雇い、夕方6時から公園や商業施設の駐車場などで無料の青空エアロビ教室を開催しているからだ。教室といっても教えてくれるわけではなく、設置された舞台の上でインストラクターが踊っているので、それに合わせて身体を動かす。一切お金がかからないのでいいのだが、バンコクのルンピニー公園など大きな場所だと1回に数百人が集まるため、先生が見えないくらい遠くに立つはめになる。そうなると前の人を見ながら踊るので、動きが先生と全然違うこともしばしばだ。

自転車を趣味にする人も増えているバンコク

2015年ごろからサイクリングもタイでは人気になっている。ラマ10世現国王が皇太子時代に当時の国王陛下や女王陛下を励ますために国民と共に自転車で走るイベントを開催したことがきっかけでスポーツサイクルが浸透した。

ショップも増えている。ただ、外国の自転車ばかりなので、値段は高い。かといって、日本から持ち込むのも大変なので、そのあたりを考慮すればタイで買った方がいいのか悩みどころだ。いずれにしても、自転車に関しては世界的に見ても日本が長けているので、日本のパーツメーカーなどはタイでも人気が高い。

基本的にはロード―レーサーが主流で、街中などを走る人がよくいる。ただ、タイは日本と運転マナーが違うしバンコクは車が多いので、正直危険度は高い。そのため、多くのサイクリストは休日や早朝に郊外の、車が少なくてどこまでも続く直線道路で走り込んだりしている。

それから、山岳地帯に行くとマウンテンバイク(MTB)もできる。ダウンヒルというちょっと重めのMTBで坂を駆け下りたりなどを楽しむ。専用コースも最近はできているので、そういうところなら車を気にせずに走れていい。

ただ、自転車は置き場や郊外に移動する際のキャリアが必要になるし、お金がかかる趣味ではある。とはいえ、最近はタイ国鉄が自転車と人を一緒に運べる車両を開発していたりなど、そのあたりの問題は解決されつつある。車両の一部は日本のブルートレインや日本国内で走っていた車両だったりするので、日本人には非常に興味深い。

登山は初心者でも問題なく始められる趣味のひとつ

自然豊かなタイなので、北部に行って登山を楽しむのもいい。チェンマイなら市街地にたくさんの旅行会社がミニツアーを用意している。タイの山はそれほど高くないので、登山も本格知識がなくても大丈夫。チェンマイ県チェンダオ郡には国立自然公園があって、一般人は立ち入れないが、地元住民で結成されたガイド協会から人を雇えば入ることも可能。チェンダオの自然公園には固有の植物や昆虫もいるので、特別な体験ができると思う。

最近はタイ人の間でもキャンプが流行っていて、バンコクから近いところだと東北部の玄関ナコンラチャシマー県など数県に跨るカオヤイ国立公園でキャンプができたりなど、アウトドアも楽しめる。あるいは、その近くにあるチョークチャイ牧場などがグランピングもやっているので、形だけでもアウトドアをしたい方におすすめ。グランピングを一応説明しておくと、宿泊はテントではあるものの、食事や諸々のサービスがすべて用意され、客は身ひとつでキャンプを楽しめるもの。とはいえ、テントはアメリカン・ネイティブが寝泊まりしていそうな大型テントだったり、チョークチャイ牧場ではテント内に無料Wi-Fiが用意されていたりで、ほぼホテル宿泊のようなものなので、ちょうどよくキャンプとリゾートを楽しみたい人に向く。

アイススケートやスキーも体験できるバンコク

バンコクからあまり出たくないという人はボーリングはどうだろう。20年前と比較するとかなり減ってしまったが、かつては商業施設に映画館とボーリング場は必ずあったものだ。

あるいは、施設は限られるけれども、アイススケートも楽しめる。以前は伊勢丹があったセントラル・ワールドの上にもあったが、氷上がガタガタでまともにすべることができなかった。今はちゃんとした施設が登場していて、子ども向けにフィギュアスケートなどのレッスンも行っている。

それでいうと、バンコク北にあるランシットの商業施設フューチャーパーク・ランシットにはスキーの練習場もある。といっても、さすがに雪を降らせるわけにはいかないので、あくまでも疑似体験ができる場所だ。カナダ人経営で、スキーやスノーボードの基本を練習し、海外旅行に行った際に実際に雪山で滑る、みたいなことを目的としている。長い毛のようなものがついた大きなシートをベルトコンベヤのように回転させ、その上を滑る。角度やスピードも様々に設定できるので、ある程度の上級者でも楽しめるようだ。

ほかにはボルダリング(あるいはルートクライミング)など、まだそれほど競技人口の多くないスポーツなどもバンコクにはあるので、いろいろと探してみるといい。

意外と水泳は少ないがマリンスポーツは充実

あまり見かけないスポーツも多い。タイ人が好まないものは基本的にはないと言ってもよく、たとえば、ありそうであまりないのが水泳だ。プールや泳ぐチャンスはいくらでもあるのだが、趣味として競泳を楽しみたいという人は練習場が限られてくる。

一方で、マリンスポーツはそこそこに見かける機会が多い。水上バイクのレースは盛んだし、ウェイクボードを練習する人工池もある。近年はスキューバーダイビング人口が増えてきた。ただ、大きな波があまり起こらないので、サーフィンはタイではほとんど見かけない。南部にちょこちょこショップが散見されるらしいが、バンコクではほとんど見ない。大きなボードに載って立ち漕ぎをするSAP(サップ)も一部日本人が持ち込んでいるらしいが、タイ人の間でどれくらい浸透しているのか、といったところか。カヌー、カヤックもあるが、リゾートの小川で遊ぶ程度のイメージだ。

スケートボードやインラインスケートは若者の間でちょこちょこ見られる。が、大人でやっている人はまずいない。ヒップホップなど若者が好むダンスもバンコク中心地の広場などで見かける。そういう今風のダンスでなければ、まだチャンスはある。タイの伝統舞踊も教室があるし、実は意外と社交ダンスのサークルも少なくないのだ。日本人の参加者も昔から一定数はいるようなので、こういった趣味も存在する。

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