第3回 家具はどこで揃えるのがいい?

3回 家具はどこで揃えるのがいい?

 タイの住居はベーシックな家具は必ずついている。特に「タイランド・エリート」メンバーが選択するような都心のコンドミニアムならすべての家具・家電がついてくると思っていていいでしょう。

 とはいえ、移住をしてしばらくすれば、自分の生活スタイルに合わせた家具がほしくなってくる。その場合、どこに行くといいのだろうか。旅行では家具を物色する人はあまりいないので、意外とどこで家具を揃えるかを知らないという人もいる。ここではそんな家具を買う場所を見ていきたい。

地元民が行くのはこんなところ

「地元民」とひと口でいってもいろいろな人がいるが、たとえばタイの中流層の人たちが行くのは、昔ながらの家具店になる。アパートだとか、タイではごく普通のタウンハウス(タイ式長屋)や一戸建てに見合った家具が売られている。

 こういった家具店の魅力は安いこと。そして、値切り交渉も可能である点だ。同時に、見た目よりは意外としっかりしているものもあって、長持ちするのも大きな特徴かもしれない。タイの賃貸物件は家具付きが多いし、敷金(タイでは保証金と呼ぶ)がほぼ全額返ってくるので、日本よりもずっと引っ越しが容易だ。だから、頻繁に引っ越しをする人も多く、そのため壊れない家具というのは結構重要ポイントになる。

 難点はほとんどの家具のデザイン性があまりよくない。機能的にはいいのだが、最新のコンドミニアムなどにはちょっとそぐわない。だからというわけではないが、タイの富裕層もこういったところではあまり買わないようではある。日本人においても好みが分かれるでしょう。

 そのためか、昔ながらの安い家具店はだいぶ減った気がする。以前はBTS国立競技場駅下の道(ラマ1世通り)を西にまっすぐ進んでいったバムルンムアン通りに家具店が多く点在していた。あとは、その近くの丘の上に黄金の仏塔があるワット・サケットの周辺だ。この辺りはセンセーブ運河があったので木材問屋が今でも多く、中には重厚な木製ドアを作っているような家具店もある。こういったドアはうまく交渉すれば日本に送って商売ができるのではないかというほど芸術的な家具やドアだったりする。

イケア登場でずいぶんと選択肢が増えた?

 スワナプーム国際空港の南西辺りにできた巨大商業施設「メガ・バンナー」に入居するのがスウェーデンの家具メーカー「IKEA」(https://www.ikea.com/th/en/)直営店だ。今は2店舗目もできている。そちらはチャオプラヤ河西岸の「セントラルプラザ・ウェストゲート」デパート裏にある。

 イケアは東南アジアだとシンガポールとマレーシアにしかなかったが、2011年にバンコクに登場。日本と同じで併設のフードコートも大人気。店内の動線も、まずは家具そのものを見学して、最後に倉庫から自分で商品を取り出し、レジで会計するというのはタイでは初めてのシステムだったのではないだろうか。

 タイでも特に若い人には人気があって、所得が上がっているバンコクのヤング・エグゼクティブな会社員たちは週末にここで家具などを買って帰っているようだ。ただ、2店舗目もそうなのだが、都心からはかなり遠い。タイ人は自家用車で行くからいいかもしれないが、まだ移住したばかりの人だとどちらもかなり遠くに感じるかもしれない。

メガ・バンナーはBTSウドムスック駅などからシャトルバスがあるし、2店舗目もパープルラインのタラート・バーンヤイ駅前で行けなくはないが、家具を買ったあとが大変。確か配送サービスの依頼もできるが、後述するタイのブランドの方がサービス力が高い。

タイの家具ブランドも侮るなかれ

 イケアがタイに来る前はモダンな家具というと「Index living mall」(インデックス)が有名だった。インデックスは以前、雑居型商業施設の「MBK」(マーブンクローン)の家具フロアの半分を占めていたなど、品揃えがすごかった。インデックスは路面店も増えているし、今も商業施設には家具フロアがあり、そこにタイの家具メーカーやインデックスなどが店舗を構えている。

 タイ製家具の特徴はわりと頑丈なことだ。イケアは基本コンセプトで引っ越しを前提にしていないのか、わりと壊れやすい気がする。一方、インデックスは全然壊れない。

インデックスなどタイの家具大手がすごいのは、トータルで家の家具を揃えたりできること。コーディネーターがいるので、カタログや実物を見ながら部屋のコンセプトに合わせて家具を提案してもらえる。あちらもプロで、地域内であればコンドミニアムの名前をいうだけで部屋の間取りなど図面を出してくる。

 まとめて購入すれば自宅配送は無料になったり、格安になったり。支払い時に基本的に配送を前提にしてくれている点はイケアと違う。しかも、組み立て要員も同行するので、設置場所を指定すればささっと組み立ててくれる。移住したばかりだと道具もないので、しっかりと作ってくれるのはありがたい話である。

INDEX:https://www.indexlivingmall.com/

個人経営の家具店も実はすごい

 個人経営というか、前出のインデックスと違って小さな家具工場も注目したい。タイは自然豊かで木材も多いからか木製家具も豊富な種類がある(一応森林伐採などには厳しい規制があるので、自然破壊とは縁遠いことを付け加えておく)。

 職人が手作りしているようなものなので温かみがあるし、見た目にも美しい。デザイン性も高い上に機能性を備えている。しかも、タイなので日本や欧米などで買うよりもずっと安い。もしタイ移住を終えて日本やどこかの国に引っ越すことになったとしても、きっとこの家具だけは持って帰る。そんな家具だ。

 こういった家具はネットで検索できる。最近はこういった工場は画像をアップできる「Instagram」(インスタグラム)に公式ページを持っていて、そこから注文したり、メッセージ機能で在庫の確認などができる。

 前項のモダンな家具もそうだが、デパートはだいたいどこもフロアごとにジャンル分けがされていて、銀行フロアやITフロアなどがあり、家具もそのひとつになる。調理機械やベッド専門店も並んでいたり、中にはインデックスのような大きなところ、無名の家具メーカーもあるので、家具探しはデパートも案外おすすめだ。

市場や展示会は駐在員奥様方に人気がある

 家具というか芸術品などの置物も専門店がたくさんある。超高級品ならチャオプラヤ河沿いにある「リバーシティー」(https://rivercitybangkok.com/)、普通の値段であれば「チャトチャック・ウィークエンドマーケット」の西側のエリア。

 近年はバンコクではアンティークもブームで、骨とう品などはチャトチャックに隣接するグレーと赤い建物「DDモール」、それからバンコクの東の方にあるシーナカリン通りに週末に開催されるナイトバザール「タラートロットファイ」(鉄道市場)に多数のアンティーク店が集中する。ほかにもアンティークショップが点在するので、バンコク都内を散策しながら探すこともおすすめ。

 あとは、コンベンションセンターなどで行われる展示会の中に家具の展示会、雑貨の展示会がある。タイの展示会は商品の紹介や技術の誇示というよりも即売会の側面が強い。しかも、通常の料金どころか、各ブランドなどが直営店やどこかで実施するセールよりもずっと割引率が高い。日系企業などの駐在員の奥様方にはすでに知られていて、こういった展示会で一番鉄が入っているのが日本人女性だったりするほど。それくらい注目しておきたい販売会なのだ。

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